
湯島財産区直営としての温泉利用権を主体とした集中配湯管理方式は、
(1) 乱掘防止による源泉の保護涵養
(2) 温泉地に起こりやすい各種紛争の防止
(3) 温泉のもつ公共性の強調
といった観点からは、ほぼ理想的な管理方法であると、一般に高く評価されており、近年、全国各温泉地で取り上げられているところである。
城崎温泉の場合、泉源量の面から温泉の利用順位を
1 外湯による区民の温泉利用
2 訴訟当時の温泉所有者の内湯用温泉
3 和解以降の一般旅館の内湯用温泉
といった原則や、旅館内湯に対する浴槽の大きさの基準等、厳しい規制を設けて、温泉需要に対応している。
| 第1次内湯配湯 |
昭和31年10月 |
40軒 |
| 第2次内湯配湯 |
昭和40年10月 |
27軒 |
| その後 |
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32軒 |
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| 計 |
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99軒 |
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で、配湯方法は1軒あたり、常時1時間2石づつを、2カ所の集湯槽で約54℃の温度に調整し、魚骨方式により、数地区に分散配湯した。
引き続き直営で新泉源の開発に努力し、昭和47年3月に15本目のボーリングが成功し(ロープウェイ下)、次のような有力な泉源を得ている。
自然湧出量(自噴) 48L/分
適正抑揚量(ポンプ) 125L/分
湧出温度 75.3℃
しかし、高深度の掘さくが成功する反面、従来の沖積層から湧出していた泉源が、次第に衰微する現象が出始め、貴重な地下資源の濫用を防止するため、数カ所の源泉を逐次、整理統合し、使用源泉数は現在わずか6か所と、極端に抑制している。
湧出量は約2倍程度に増大し、外湯浴場と67軒の内湯旅館に1,200m3/日の温泉を採取し、全量を配湯していた。これは、そのときの配湯方法が魚骨方式のため、温泉温度保持の必要上、各外湯内湯とも垂れ流し状態となっており、入浴時以外での無駄が大きなものとなっていた。
また、未配湯旅館が約30軒残っておりこれの配湯計画の必要性、一方では温泉需要が、ピーク日とオフピーク日との差が年々増大してきた等の理由により、配湯量増加が長年の課題でもあった。
このなかにあって、前記の有力源泉を得たといっても、大幅に湯量が増えるまでにはいたらず、何かこれに対応できる合理化案がないか研究討議を重ねた結果、温泉技術管理の権威である中央温泉研究所の指導を仰ぐことになった。

このようにして、現在の集中配湯管理施設は昭和47年10月に完成したが、これは温泉の熱を主体として管理すれば、使用する温泉の量そのものは現在よりも少量となっても、その利用効果は充分満たされるものであるので、以前の魚骨方式の一方的な配湯方法から、この循環方式に改良され施設が一新されたものである。
※泉源
集中管理方式で区営浴場、宿泊施設に配湯しているが、温泉の需要が年々高まる中で、明治年間、それ以前に開発された源泉で沖積層より湧出している源泉を統廃合するため、昭和60年緊急時対策として2カ所の掘さくに成功し、安定した源泉を得たため、平成元年No.20・22号泉源の統合を行い有力なNo.27号泉、No.28号泉ボーリングに成功し、次の使用泉源となっている。
| 泉源番号 |
深度:m |
年代 |
泉源の状況 |
開発時の温度:℃ |
湧出量:L/min |
| 7 |
20.0 |
明治42年 |
渦巻ポンプ |
41.0 |
(休止) |
| 18 |
73.8 |
昭和27年 |
渦巻ポンプ |
62.5 |
100 |
| 25 |
20.8 |
昭和60年 |
水中ポンプ |
37.1 |
150 |
| 26 |
128.0 |
昭和60年 |
渦巻ポンプ |
67.8 |
100 |
| 27 |
300.0 |
平成元年 |
ボアホールポンプ |
73.0 |
600 |
| 28 |
500.0 |
平成6年 |
ボアホールポンプ |
75.5 |
400 |
計 |
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1,350 |
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| 使用予定の泉源数 |
6か所 |
総湧出量(能力) |
1,350L/min |
| 平均温度 |
59.4℃ |
|
1,944m3/day |
これらの泉源は、いつでも使用可能な状態に整備されているが、No.7号は休止している。
※集湯
城崎町湯島地区内の末端であり一番高い所にあたる地点を選び、ここに180t(昭和47年)・100t(昭和57年設置)2基の貯湯タンクを設置して、各泉源より揚湯した温泉をすべてこのタンクへ一旦集湯することとした。
この場合、常時使用されると想定される泉源は直接タンクへ集湯し、使用泉源6か所のうち一番高温の75.5℃であるNo.28号泉源と、最も湯量の多い、No.27号泉源(600L/min)を、ボアホールポンプによる揚湯として貯湯タンクの水位変化と連動し、一定水位にタンク水位が低下すれば自動的に揚湯量を調整する自動監視装置を設置した。
※配湯
湯島地区内に分散する温泉需要の対象者である外湯7カ所、及び約100軒の旅館営業者の、それぞれの温泉受湯口を調査して、何れの需要者も配湯管分岐栓から分湯栓までの距離が、50m以内となるように、区域内全域の配湯管路線を計画したため、結果的には主要道路のほとんどを掘さくした。
また、配湯管分岐栓から温泉需要者の受湯栓までの給湯管工事、及び各集湯管工事のため、全区域の大半を掘さくしたような状態となった。
したがって、配湯管総延長 4,364m
集湯管総延長 1,462m
給湯管総延長 1,360m である。
また、配湯管は
Φ150・Φ100は富士パイプ(特殊積層管)
Φ100・Φ75・Φ65・Φ50は富士パイプ及び耐熱パイプを使用した。
※諸機械
配湯所に
配湯ポンプ 550L/min 55m 11kwh 3台
配湯ポンプ 300L/min 35m 3.7kwh 2台
各種計測器等
を設置した。

180t、100t貯湯タンクの温泉が配湯所を出発し、区域内を一巡して、もとの貯湯タンクへ帰ってくる方式であるから、温泉受湯者は区域内の配湯管分岐栓より専用給湯管により、随時必要に応じて温泉を使用することができる。
また、各需要者の構内に設置した計量器を月末一斉検針して、温泉使用量に応じた使用料金を徴収している。
※配湯圧力
出発時点 標準5.5kg/cm2
タンクへ戻る時点(温泉使用ピーク時) 約1.0kg/cm2
※配湯温度
出発時点 58℃
タンクへ戻る時点 57℃
58℃の温泉が貯湯タンクより出発して、区域内4,364mの配湯管を通り一巡して帰ってくる所要時間は約40分であるが、その間の温度損失は僅かに1℃前後の57℃となっている。
標準供給温度 57℃
最低供給温度 55℃ とした。
この供給温度は、配湯管から分岐した分湯栓における温度を条例で補償している訳で、55℃には特殊事情がない限り下げてはならないということである。
以上により温泉使用者は最低約1.0kg/m2の水圧、57℃の温泉を総計で、1日2,016tまでは、自己の使用しやすい時間・方法で自由に使用できる。
ただし、短時間内の使用量については、280t貯湯タンクの操作により揚湯能力の2,016t以上の温泉使用も可能になった。

ナトリウム・カルシウムー塩化物・高温泉(低張性、中性、高温泉)

(1)浴用の禁忌症
1)急性疾患(特に熱のある場合) 2)活動性の結核 3)悪性腫よう
4)重い心臓病 5)呼吸不全 6)腎不全 7)出血性疾患 8)高度の貧血
9)その他一般に病勢進行中の疾患 10)妊娠中(特に初期と末期)
11)高温浴禁忌症(42℃以上)
a)高度の動脈硬化症 b)高血圧症 c)心臓病
(2)飲用の禁忌症
1)腎臓病 2)高血圧症 3)その他一般にむくみのあるもの
(3)飲用上の注意
フッ素及びヒ素を含有するため飲用許容量は1日につき420ml以下とし、長期にわたり飲用したい場合には温泉について専門的知識を有する医師の指示を必ず受けること。なお、8歳から15歳までの飲用の許容量は、1日につき210ml以内とし、乳幼児の飲用は避けること。
(4)浴用の適応症
1)神経痛 2)筋肉痛 3)関節痛 4)五十肩 5)運動麻ヒ
6)関節のこわばり 7)うちみ 8)くじき 9)慢性消化器病 10)痔症
11)冷え性 12)病後回復期 13)疲労回復 14)健康増進
15)きりきず 16)やけど 17)慢性皮膚病 18)虚弱児童
19)慢性婦人病
(5)飲用の適応症
1)慢性消化器病 2)慢性便秘

兵庫県衛生研究所長 小林 稔
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